FXのチャート分析に必要な手法を体系的にまとめています(全8回)
- 手法編① 総論
- 手法編② ローソク足の使い方
- 手法編③ 大きな相場の流れ(トレンド・もみあい・レンジ)と200MA
- 手法編④ エリオット波動
- 手法編⑤ フィボナッチ分析の数値設定と使い方 ⇒ いまここ
- 手法編⑥ トレンドラインと山三つライン
- 手法編⑦ ストキャス・水平線・その他
- 手法編⑧ レンジ相場の判断と対策
また日々のトレードでは、実際に分析をしながらリアルタイムでトレードしている画像をアップしていますので、学習の参考にしてください。
フィボナッチ分析とは
フィボナッチ分析とはフィボナッチ指数を使ってチャートを分析する手法のことです。
フィボナッチ○○というインジケーターはたくさんありますが
- フィボナッチリトレースメント(以下FRと略します)
- フィボナッチエクスパンション(以下FEと略します)
の2種類を使います。
FRは例えば上昇があったとしたらその戻しの大きさを測るものです。主にもみあいの相場の時に使います。
FEはトレンドがどこまで伸びるのかを測るためのものです。したがって主にトレンドが発生している相場で使います。
トレンドが伸びているときには高値安値を更新しているので、同じ時間足でFRが使えないことが多くあまり問題にならないのですが、もみあいの中ではFEを使いたくなる場面が結構あると思います。
ただもみあいの中ではFRの方が強い時が多いので、その辺の優先順位は注意して考える必要があります。
ではそれぞれ説明していきましょう。
フィボナッチリトレースメント(FR)について
フィボナッチリトレースメント(FR)の設定
FRはMT4の初期設定に入っています。ツールバーを右クリックしてFRを追加します。追加したらどこでもいいのでチャートにFRを引いて選択した状態で右クリックします。Fiboプロパティというのが一番上に出てくるはずです。『フィボナッチ・レベル』のタブで以下の数値を設定します。それ以外のタブは触らなくて大丈夫です。カラーはお好みで。私のチャートを参考に設定してもらってもいいです。
0 0
0.236 23.6
0.382 38.2
0.5 50
0.618 61.8
1 100
これで設定は完了です。結局、波があったらその何%まで戻してるかということを%で計算して表示しているだけのことです。
フィボナッチリトレースメント(FR)の引き方
基本は高値から安値まで引きます。例えば図のように上昇があったらどこまで戻すのかを測ります。私のチャートでは78.6と88.6が表示されてますが使わないので無視してください。

2つ目の高値安値を裁量で使うこともあります。

複数の波にまたがって引くことはあまりしません。

ただエリオットの5波全体を1つの波としてFRを引くのはありです。基礎知識としてはだいたいこんな感じでOKです。
フィボナッチリトレースメント(FR)の数値の意味について解説します
FR23.6について
一番浅い数値になります。つまりほとんど戻していない状態ということになります。
トレンドが出ている相場ではトレンド方向の動きが強い場合にトレンド方向に仕掛ける場合の数値として利用することが多いです。
逆にもみあい、レンジで使うと失敗しやすいのであまり使いません。
FR38.2について
重要な数値になります。
『波があって戻しがあって○○』という言い方をしますが、具体的には38.2まで戻したか戻してないか、ということを表していることが非常に多いです。
ケースバイケースですが、基本的には38.2まで戻してなければその波は戻してない1つの波と見ますし、38.2まで戻した場合は基準となる波の次の波として認識します。
ここはエリオット波動の分析とも関わってきます。
例えば一番わかりやすいのは、上昇3波でトレンドが出ているときに38.2まで戻したら
上昇3波が終わって上昇4波になったかもしれないと考えますし、23.6までしか戻さずに高値更新していくようであれば上昇3波が継続しているんだな、と考えます。
1波から2波になる場合や5波が終了する場合も基本的には同じ考え方になります。
このように基準となる波の38.2まで戻したら次の波になったかもしれない、と考えることになるので38.2は大事な数値になります。
ただし
38.2まで戻したからといって即座に次の波になったと判断することはできません。戻したと思ったらまた伸びていって全体として1つの波として継続するパターンもたくさんあります。
つまり大事なことは次の波になったかもしれないという『選択肢が現れる』ということです。その後の判断はFRだけではできないのでその場その場でFR以外の根拠から判断しなければいけません。
こういう点もチャートを分析するだけでは勝てるようにはならないという具体例です。FR38.2という数値だけ覚えても勝てないということです。
逆に、基本的には38.2まで戻してなければ次の波にはなっていないのでその選択肢はない、という意味になります。
また、例えば上昇の38.2まで下げてきたから買おうとか、38.2まで下げてきたから戻しから売ろうとか、38.2まで下げたけど上げてこないから売ろうとか、トレードのポイントになりやすい数値でもあります。
FR50について
50%・半値ということです。わかりやすいですがあまり意味のある数値ではありません
基本的にはあまり使いませんし、エントリーの根拠にも基本的には使いません。ただ、明確な1d4hのトレンドのFR50を1h5mで抵抗の根拠として使うことはあります。
FR61.8について
重要な数値になります。
例えば上昇があって戻しから買いたいと考えていたとして、61.8より下側になってしまったらトレンドの戻しと考えることはあまりないです。つまり戻しからトレンド方向を狙いたいとすれば最後のとりで的な数値になります。
基本的には上昇があったとしたら戻しから買いたいわけですから、61.8まで下げてきたらなんとかして買えないかなー、と考えることが多いです。
逆に61.8を抜けて下げていくだろうと考えてトレードすることは基本的にはないです。
ただ当然シナリオとして、売りが強くて買えそうにないし上昇の61.8を抜けて下にいく可能性もあるな、と考えることはあります。
そういう場合は61.8を抜けたのを確認したので抜けた後で戻しから売りを考える、ということなので61.8を抜けてないのに61.8の抜けを狙って売るということはしない、という意味です。
そういう意味で38.2と同様に重要な分析上の数値でありトレードのポイントにもなりやすい数値ということになります。
FR100について
これは基準となる波の根っこの最高値・最安値、という意味です。ここまで戻したらもうトレンドの戻しという状況ではないですが、逆にFRという捉え方ではなく前回高値安値という意味であれば非常に良く使います。
BOXについて
『読みなよ。』の手法で独特な分析手法にBOXというものがあります。基本的に私は『読みなよ。』の手法をベースにしているのでBOXについても説明します。
BOXの設定
買いBOXと売りBOXがあります。
買いBOXは波に対してFR38.2と61.8の間でフィボナッチタイムゾーンの2から3の間のゾーンにGOLDでMT4のBOXを書きます。

売りBOXは同じBOXを『BISQUE』の色で書いて左端を2から1.618に移動させます。

BOXの使い方
基本的にはFRに準じたものですが、時間的な調整も考慮しています。波があって戻しからエントリーしよう、と思っている場合に戻しのメドとして使います。
エントリーパターンとしても使いますが、これもBOXがあるから入る、というのではなくBOXがある所でどういう場合はエントリーできてどういう場合はダメなのか、というのを細分化して決めていく必要があります。
また、付随的な使い方ではありますが、FRが重なってチャートが非常に見にくくなる場合にBOXで代用すればチャートがすっきりする、という使い方もできて便利です。
基本的にBOXはFRを使うのと変わらないですが、FRはほとんどの場合38.2と61.8しか使いませんがBOXの場合はそれ以外の部分も使うことができる(カラーの部分全部ということ、詳細は別項目で書く予定です)というのがFRとBOXの実務的な違いと考えることができます。
フィボナッチエクスパンション(FE)について
フィボナッチエクスパンション(FE)の設定
FRと同じでFEもMT4の初期設定に入っています。FRと同じ要領で以下の数値を設定します。
0.618 61.8
1 100
1.27 127
1.618 161.8
2.618 261.8
これで設定は完了です。
こちらもFRと同様で基準となる波の何倍伸びたのかということを%で計算しているだけです。
フィボナッチエクスパンション(FE)の引き方
こちらもチャートの下に説明を書きましたので参考にしてください。

トレンドがあった場合に根っことなる山に引きます。例えば上昇があったとしたら
その根っこの最安値⇒1波高値⇒2波安値
という順番に当てます。あまり難しいことはないと思います。

注意するのは基本的に最安値・最高値を基準にFEを当てることです。波の途中の高値安値から引くということはあまりしません。

ただ、例えば長いもみあいが続いてから上昇トレンドが発生したときに、もみあいの最安値ではなく直近の最安値にあてる、ということは結構あるかもしれません。この辺は慣れと裁量になりますが初めのうちはそんなに重要ではないです。
FRと違ってFEは一義に決まらないことが多いかもしれません。この辺もやってるうちに自分なりの方法が決まってくると思います。繰り返しますがFEをあてるのは分析手法の中ではそんなに難しくないと思いますので安心してどんどん当てていきましょう。(ただ逆にそれが原因でFRよりFEを優先して考えがちになるので注意しましょう)
フィボナッチエクスパンション(FE)の数値の意味について解説します
FE61.8について
あまり使いません。上位時間足の61.8をトレードの根拠として使ったりしますが、FEをあてた時間足ではあまり使うことはないと思います。ただ例えば根っこの山のサイズが大きい時などにたまに効くこともあるので、あまり軽視しすぎると失敗したりします。
FE100について
浅い利確の数値です。それ以外にはあまり使いません。上位時間足のFE100はFE61.8と同様にトレードの根拠として使ったりします。またFE61.8と同じくたまに効いたりもします。
FEを当てた時間足ではトレードの根拠にならないことが多いです。例えば上昇してきた場合に売りの根拠にはなりません。始めのうちは上昇のFE100で売って失敗とかは結構あるあるの失敗パターンかと思います。
FE127について
重要な数値になります。
メインの利確の数値です。
語弊があるかもしれませんが、トレンドが発生した場合にFE127より先のトレンド方向を簡単に狙ってはいけません。状況によってはその先まで狙うことはありますがトレンドの根っこで乗れたら基本的にはFE127で決済します。
ただ、実際にはトレンドがFE127で止まるかというとたぶん先まで伸びていくケースの方が多いかと思います。
つまりFE127から先は何があるかわからないのでトレンドに乗っていくにしても戻さないのを確認してエントリーする、という対応が必要になってきます。
また、あくまでも利確の数値なので例えば上昇のFE127はそれだけでは売りの根拠にはなりづらいです。
上位時間足のFE127はFE61.8やFE100と同様にトレードの根拠として使ったりすることはあります。
FE161.8・261.8について
重要な数値になります。
そのサイズでのトレンドが順調に伸びれば最終的に行きつくことが想定される数値になります。
もう一つ大きなFEを使うことになれば当然もう一段トレンドは伸びていくこともあるので、そのサイズという表現をしています。
順調に、というのはFE100やFE127でトレンドが止まってしまうことも可能性としては全然あるということです。
トレンドの戻しからのエントリーを考える場合はFE127の対応とあまり変わらないと思いますが、FE127との違いは上昇であれば売りの根拠になる数値ということです。
つまり逆張りの売りも想定することができる数値になります。
フィボナッチ分析まとめ
少し長くなりましたが以上がフィボナッチ分析の基本的な解説になります。エリオット波動と組み合わせて使うことである程度精度の高い分析ができるようになると思います。
1つ1つの使い方自体はそんなに難しくないと思いますが実践で分析していくといろいろなパターンがありますので失敗しながら使い方を覚えていきましょう。
⇒ 次回:FXチャート分析 手法編⑥ トレンドラインと山三つライン